祈りと魔法
2021年 05月 29日
私事ですが、実は5月9日に室内でうっかり転倒。
左手首を強打し骨にヒビが入るというアクシデントにみまわれました。
その日から日常は不自由なものとなり、左手の大切さを実感する日々。
家族の助けなしには自分一人で何もできない状態でした。
作品の搬入は友人に全て助けてもらいました。
配置も、私が伝えたように友人が美しく飾ってくださいました。
そして初日。
起き上がると股関節と背中が痛い。
手首の痛みに紛れ気付かずにいましたが、転倒で実は色々な箇所にダメージを負っていたようです。
痛み止めも減らし、ようやく回復の兆しが見え始めた頃、他の箇所の痛みが自覚されてきたのでしょう。
手の不自由と生まれて初めての歩行困難。
まさに弱気MAXでした。
そんな私を作家さまが支えてくださり、全てを担ってくださいました。
私はほとんどソファに座り、やっとやっとでお客様に対応。
毎日毎日、無事に終えられたことに感謝の日々でした。
当然ピアノを弾くこともままならず。
一瞬でゼロならぬマイナスの状態になりました。
究極ピアノさえ弾ければ ....
そう思って生きてきた人生でしたが、それがいかに脆いものであるかを思い知りました。
恐る恐る鍵盤に触れるようになると、今度はピアノを弾くという行為がいかに奇跡的なものであったかを自覚しました。
日常の動きを超越した神秘の領域。
どの指がどの骨や筋肉に作用するかも痛みによって知ることができました。
どの和音がどの骨をどれだけ刺激するか ....人体の緻密な構造に感銘さえ覚えました。
本日開催した「朗読とピアノの夕べ」も、私が演奏できるかは「時」に委ねました。
回復に負担をかけぬように、少しずつ ....
魔法と祈りは少し似ているような気がします。
そして今日はこの二つに叶えられたような気がします🎶
自分の年齢、衰えていく諸々 .....
それを支えてくださる周りの方々の優しさ。
優しさが一番の魔法
優しさが一番の祈り
リルケを詠う石倉和香子さんの声に
リルケを弾く私のピアノが呼応する
響き合う二つの音が今も心に聴こえます。


