リルケを想う
2021年 05月 08日ボヘミアの民謡は
僕をひどく感動させ
心の中へ忍び込んで
心を重く悲しくする。
一人の子供が、馬鈴薯の雑草を抜きながら
穏やかに歌っているのを聴くと
その歌が 後で
夜の夢の中でも聞こえるのだ。
国を出て
遠いところを旅していても
永い年月がすぎた後に
またしてもふと思い出す。
リルケ「民謡」片山敏彦訳
リルケ詩集の序に書かれた片山氏の言葉が好きです。
「ボヘミアの都の夜明けの空へためらいがちに立ちのぼる夢の歌 ... 孤独なひとりごとのような詩は、一本の樹のように、独自な魂の力の空へと成長する。
リルケは自分の魂に聴き入りながら、その魂に映っている存在と生とに深く聴き入る。
彼は生活の根を存在の深く暗いみなもとに養いながら、魂の樹液を空に向かって掲げる。
そして枝が空の光に触れるところに「詩」の花を咲かせる。」
リルケは虔ましく純粋な詩人であり、苦悩さえも慈しみに変容させる静けさの人であった。
ささやかなものの中に美しさを見、晩年は悲しみや死さえも新しい輝きに照らされているようだったと。
🌹
音楽が聴こえる
リルケの詩は天使と歌だ ....
Photo by maki