モラン

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「.....どんなにモランはさびしいことでしょう。だれにも愛されないんだものねえ。だからあの人は、みんなをにくむんです。あのスーツケースにはいってるものは、おそらくあの人のもってる、ただ一つのたからものでしょう。それをもあなたがたは、あの人からとりあげてしまうというんですか。
あのさびしい、夜の中になげだされているおばあさんから。」
スニフは、こういいながら、いよいよのぼせてきて、声をふるわせました。

             トーベ=ヤンソン 「楽しいムーミン一家」 山室静/訳



モランは女のまもの(ばけもの)です。
モランが通った跡は真っ白にこおりつき、その声もこおりのよう。
でもモランは恐ろしいまものでしょうか。
いいえ、あまりにも孤独だったから心がこおりついてしまっただけ。
本当は可哀想なおばあさんなのです。

by silent_music | 2010-03-15 22:54 | days