鏡の国のアリス
2010年 02月 18日あかるい空のもと ボートがいっそう
ゆめみごこちで たゆたいすすむ
七月の とある夕ぐれ
りょうわきには いとけない三にんむすめ
まなこきらきら 耳そばだてて
たいないおはなしを よろこびむかえ
すんだあの空は とうにいろあせ
こだまはきえ 思い出はほろび
秋のしもに 七月はあえなくさったけれど
わたしの目にはいまも 大空のもと
アリスがいきいきとうごいてやまない
さめてはみえぬ まぼろしのそのおもかげ
がんぜないものたちは なおもおはなしをと
まなこきらきら 耳そばだてて
あいくるしくにじりよってくるのだ
あのこたちは ふしいの国にねそべり
夢のうちにあけくれている
夢のうちに 夏はあまたたびめぐり
いつまでも ながれをただよいくだり
こんじきのひかりのうちを たゆたう
いのちとは 夢 でなくてどうする?
ルイス.キャロル「アリス.わが愛」 矢川澄子 訳