アシジの貧者 〜歌うように愛を伝えた人〜


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私たちはたくさんの奇跡に囲まれている!
朝、太陽が上り、その光を私たちにわけてくれるとき、鳥たちがどんなに熱心にうたっているか、人間の心がどんなに生きいきとはずんでいるかに、あなたは気がついたかね?
石や水が笑っているのに、気がついたかね?
そして、夕方、太陽が沈むと、兄弟なる火が親切に私たちのところにきてくれる。
あるときは、私たちを照らすためにランプの中にたち上り、あるときは、私たちを暖めるために暖炉に身を置く。
そして、水もだ!
水もまた、なんという奇跡だ!
笑いさざめきながら流れ、小川となり、ついで、河となり、うたいながら海へと下ってゆく!
流れながら、水はすべてを洗い浄める!
咽喉が渇くと、水は私たちの臟を冷やしてくれる!
人間の肉体は大地に、そして、魂は神になんと完全に適合することか!
これらすべての奇跡を想うとき、もし話したり歩いたりするだけでは、私には不充分だ。
うたったり、踊ったりしたくなる。

                 「アシジの貧者」より  N.カザンツァキ


弟子レオーネの言葉を通して描かれた聖フランチェスコの生涯。
カザンツァキの文章はまるで詩のように美しい。
何度も何度も読み返しては、歌うように愛を伝えた聖人の姿、声を心に抱きしめます。


by silent_music | 2011-01-17 01:28 | days